厚労省、訪問介護報酬に職員の移動負担反映へ 2027年度改定で新区分導入を検討
厚生労働省は、訪問介護に従事するホームヘルパーらの移動にかかる費用や時間的負担を介護報酬に反映させる検討に入った。2026年10月19日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)で方針を示した。地方や中山間地域で深刻化する事業所の経営悪化や休廃業への対策として、2027年度(令和9年度)の介護報酬改定での導入を目指す。
現行の訪問介護報酬を巡っては、有料老人ホームなどの高齢者向け集合住宅と同じ敷地内や近隣の利用者を訪問する事業者と、一軒家などを戸別に回る事業者との間で生じる移動負担の格差が長年問題視されてきた。
特に地方や中山間地域では利用者の自宅が広範囲に点在しており、移動距離や所要時間が大幅にかさむ。その結果、職員が1日に対応できる訪問件数が制約を受け、十分な報酬収入を得にくくなっている。こうした構造的な要因から事業所の収支が悪化し、撤退や休廃業につながる事例が生じている。
現行制度では、事業所と同一敷地内にある集合住宅の利用者にサービスを提供した際に報酬を減額する「同一建物減算」の仕組みが運用されている。厚生労働省はこの現行ルールに代わり、移動負担の度合いやサービスの提供回数、事業所規模といった現場の実態を直接的に反映する新たな報酬区分への見直しを検討している。
同省は今後、報酬の具体的な引き上げ額や算定基準、適用要件などの制度設計を進め、2027年度改定での導入に向けた議論を深める方針だ。
