VIDIA Jetson Orin TE980M-A1 S TW 2510A1 SNVUP6 MOP TE980-AT computer module. Photo credit: War&Sanctions
国際

ロシアのステルスミサイル内部からNVIDIA製Jetson AIチップが発見される

ウクライナ軍情報機関は、ロシアの新型ステルス巡航ミサイル「S-71M モノクローム」の内部から、米NVIDIA社製の「Jetson Orin」AIコンピューターモジュールを発見したと発表した。この発見により、西側諸国の先端技術が制裁下でもロシアの兵器システムに流入している可能性が改めて浮上している。

ウクライナ国防省情報総局(HUR)は8月12日(水)、同国が運営する「War&Sanctions」ポータルを通じて、ウクライナに対する攻撃で使用されたロシア製兵器から特定された35種類の電子部品に関する情報を公開。その中で、NVIDIA製Jetson Orinモジュールの存在を明らかにした。HURは「このチップの存在は、ミサイルに人工知能(AI)技術が採用されている可能性を示唆している」と述べているが、ミサイルのシステム全体像やチップの具体的な機能については言及を避けた。

発見されたチップには「TE980M-A1」という型番が記載されており、これはNVIDIAの「Jetson Orin NX 16GB」システム・オン・モジュールに相当する。このモジュールは、8コアのArm Cortex-A78AEプロセッサ、Ampereアーキテクチャ 기반のGPU、および最大157 TOPSのAI演算性能を発揮する32基のTensorコアを搭載した「Tegra T234」プロセッサを中核とするコンパクトなコンピューティングプラットフォームだ。米Tom’s Hardwareの報道によると、チップの刻印からは2025年10月という比較的新しい製造時期が示されており、これは西側諸国による対ロシア制裁が発効して以降の時期にあたる。

軍事アナリストやウクライナの情報チャンネル「Polkovnik Gsh」は、このJetson Orinモジュールが中国製の光学センサー「Honpho TS130C-01」と連携して動作し、終末誘導段階での機械学習に基づく画像認識・目標追尾機能を担っている可能性が高いと分析している。

S-71Mモノクロームは、ロシアのステルス戦闘機「Su-57」や無人戦闘機「S-70 Okhotnik」から発射されるよう設計されている。弾頭重量は250キログラム、巡航速度は時速500〜600キロ、航続距離は約350〜400キロと推定されている。HURによれば、このミサイルは2026年初頭から限定的に使用されており、ロシアが自律誘導機能の実戦テストを継続中であることを示唆している。

NVIDIA社はTom’s Hardwareの取材に対し、「Jetson Orinモジュールは学生、開発者、スタートアップ企業など幅広いユーザーに販売される民生用製品であり、軍事用途を目的として設計されたものではない」と説明。同社は「製品はロシア国内では販売されていない」としつつも、「中古市場を通じて広く流通しており、販売後の追跡は不可能」と認めた。その上で、「米国の輸出規制に違反する顧客が発覚した場合には、適切な措置を講じる」と表明した。

今回の発見は、現在の米国制裁枠組みの「抜け穴」を浮き彫りにしている。高性能データセンター向けAIアクセラレーター(例:H100)は厳格な輸出規制の対象となっている一方、趣味や開発用途向けに世界中で市販されている低消費電力のエッジコンピューティング機器は、規制がほぼ適用されていない状態だ。HURは「今回の事例は、国際社会が制裁圧力を強化し、連携を深める必要性を改めて示すものだ」と指摘している。

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