警察庁と米Googleが連携しサイバー犯罪インフラを無害化、家庭用IoT機器130万台超のボットネットを遮断
警察庁は2026年11月4日、関東管区警察局サイバー特別捜査部や福岡県警察、米Google社などと連携し、サイバー攻撃の踏み台として悪用されていた大規模なボットネットインフラを無害化(テイクダウン)したと発表した。世界200以上の国と地域で130万台以上の家庭用セットトップボックスなどのIoT機器が感染していたが、制御サーバーや関連ドメインが差し押さえられ、不正な通信経路が遮断された。
事案の端緒となったのは、福岡県警察が2025年9月に捜査していたインターネットバンキング不正送金事件だった。不正アクセス元となった場所の家宅捜索において、不正なアプリケーションソフトが混入されたIoT機器を発見した。関東管区警察局サイバー特別捜査部がこの不正ソフトウェアの解析や機器の製造・販売状況を調査したところ、悪用された端末の多くにAndroid OSが搭載されていたことから、2026年3月以降にGoogle社へ情報提供を行い、合同での調査が進められた。
Googleの脅威分析チームなどの調査により、中国・深センに拠点を置くAndroid OEM/ODM機器メーカー「Videostrong Technology」社が、経済的利益を目的に自社製端末のファームウェア領域へ意図的にバックドアプログラム「XCPE(別名x.cpe)」を組み込んでいたことが判明した。XCPEは端末の初回起動後に不正プログラムを外部から読み込む手口でGoogleのセキュリティ審査をすり抜け、端末内のセキュリティ機能「Google Playプロテクト」を無効化する仕組みを備えていた。
バックドアに感染した機器は、住宅用ネット回線を悪用して身元を隠蔽する「レジデンシャルプロキシ」や広告詐欺(アドフラウド)に利用され、そのアクセス権がサイバー犯罪グループに販売されていた。事態を受け、Google社は米国の裁判所で法的措置を講じ、Videostrong社がボットネットの制御に使用していた指令サーバーおよび関連ドメインをテイクダウンした。さらに、バックドア経由で配布されていた10以上のマルウェアファミリーが使用するC2ドメインも停止させた。
Google社は今回の一連の措置により、XCPE以外の流通ルートを含む推定1000万台以上の感染端末に対する不正アクセス経路が遮断されたと推測している。解析および無害化対策には日本の警察当局とGoogleのほか、Lumen、HUMAN Security、Plume、Synthient、TrendAIなどの民間企業が緊密に連携して参加した。
GoogleはVideostrong社との提携を解消し、同社および子会社・関連会社による認定Androidデバイスの製造や販売、他ベンダーへのソフトウェア提供を永久に禁止した。国境や業界をまたぐ脅威への対応について、Googleの担当者は「国境や業界をまたぐ脅威には、協力が最も強力な手段の1つ」とコメントしており、法執行機関とグローバルIT企業による枠組みを超えた連携が成果を上げた形となった。
