気候変動対策の不十分さを問う日本初の国家賠償訴訟、東京地裁で第1回口頭弁論
日本政府の気候変動対策が不十分であるとして、市民らが国の法的責任を問う国家賠償請求訴訟(通称・気候正義訴訟)の第1回口頭弁論が2026年10月9日、東京地方裁判所(本村洋平裁判長、103号法廷)で開かれた。国の気候変動対策そのものを違法として損害賠償を求める国家賠償訴訟は、日本で初めてとなる。
原告は全国各地に暮らす市民ら計906人。2025年12月18日に提訴した第1次原告452人と、2026年4月2日に追加提訴した第2次原告454人が合流する形で裁判に臨んでいる。原告弁護団の代表は、日本環境法律家連盟理事長の島昭宏弁護士が務めている。
原告側は法廷で、国際的な枠組みであるパリ協定が掲げる「世界の平均気温上昇を産業革命前比で1.5度未満に抑える」という目標に対し、日本政府が策定している温室効果ガスの削減目標は著しく不十分であると主張。国の不作為や不十分な政策によって生存権や平穏生活権(気候享受権)などの基本的人権が侵害されていると訴え、国に対して原告1人あたり1000円の損害賠償の支払いを求めた。
これに対し、被告である国側は請求の棄却を求めた。国側は、パリ協定が定めた1.5度目標は努力目標にとどまるものであると指摘し、現行の政府方針はその内容と整合しているとして、国の施策に違法性はないと反論した。
気候変動の加速がもたらす生活環境や人権への影響を巡り、司法の場で国の政策責任を正面から追及する法廷闘争が本格化した形だ。温室効果ガス削減目標の妥当性や気候変動と基本的人権の関係性について、裁判所がどのような司法判断を下すかが焦点となる。
