通俗科学

那覇の鮮魚市場で買った魚、世界2例目の希少種だった 琉球大が「コトウヒメジ」と命名

沖縄県那覇市の鮮魚市場で売られていた魚が、世界でわずか2例目、通算4標本目となる極めて珍しいヒメジ科魚類であることが判明した。琉球大学大学院理工学研究科博士前期課程の篠田将太郎大学院生、修了生の金子哲平氏、理学部海洋自然科学科の小枝圭太助教らによる研究チームが詳細な分析を行い、日本初記録種として新標準和名「コトウヒメジ」を提唱。研究成果は日本動物分類学会の発行する英文学術誌「Species Diversity」に2026年9月3日付で公開され、大学側が翌9月4日に発表した。

調査の発端は2025年8月、当時大学院生だった金子氏が那覇市の鮮魚流通販売施設「泊いゆまち」を訪れた際のことだった。店頭に並んでいた鮮やかな赤色の体色とあごに2本のひげを持つ見慣れない魚に目が留まり、研究用標本として購入した。

ヒメジ科ウミヒゴイ属を研究する篠田大学院生が、ひげやひれの長さ、鰓耙(さいは)数、体色などをウミヒゴイ属の既知35種と比較精査した。その結果、1993年にマリアナ諸島で得られた3標本をもとに記載されて以来、一度も採集報告がなかった希少種「Parupeneus moffitti」と同定された。日本国内の水域からの確認は今回が初めてとなる。

研究チームはさらに店舗の仕入れ記録や沖縄県水産物商業協同組合・イマイユ市場の競り記録を追跡し、漁獲した漁師への聞き取り調査を行った。その結果、この魚は沖縄本島から東へ約360キロメートル離れた大東諸島の北大東島北東沖、水深約180メートルの「トワイライトゾーン(中深層)」で漁獲されたことが突き止められた。

本種がこれまで一度も大陸とつながったことがない絶海の海洋島(マリアナ諸島および大東諸島)からのみ記録されていることにちなみ、研究チームは漢字で「孤島緋鯉」を意味するコトウヒメジの新標準和名を提唱した。あわせて世界初となるDNA解析も実施された。形態が類似するハワイ固有種「Parupeneus chrysonemus」と遺伝的に近縁であるものの、塩基配列に5.1パーセントの遺伝的距離が認められ、分子生物学的にも独立した別種であることが実証された。

ひろし

4年以上の経験を持つ、魅力的なフリーランスライター。コンテンツライティングとジャーナリズムに長けています。Net24.Newsのレギュラーコントリビューター。 世界をより良い場所にするようなテーマで書くことが好きです。今は名古屋に住んでいます。

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