通俗科学

J-PARCや理研など、新設ミュオンビームラインで光速の約8%までのミュオン加速に成功

J-PARCセンター、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、日本原子力研究開発機構、東京大学、名古屋大学、理化学研究所(光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チームの和田智之チームディレクターら)の研究グループは、大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて、ミュオンを高周波加速によって光速の約8%まで加速することに成功したと発表した。

実験は2026年6月、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)内に新設された専用ミュオンビームライン「Hライン」の実験エリア「H2エリア」で実施された。研究グループは、生成されたミュオンを一度冷却した後に高周波加速器へと導き、運動エネルギー0.3 MeV(メガ電子ボルト)まで加速することを確認した。この速度は光速の約8%に相当する。

ミュオン加速を巡っては、2024年に最初の原理実証実験が行われていた。当時の実験値は運動エネルギー0.1 MeV、ビーム強度が毎秒0.05個であったが、今回のH2エリアでの実験では、エネルギーで3倍、強度で200倍となる毎秒約10個を達成した。これにより、ミュオン加速研究は原理の「実証段階」を終え、実際の実験に用いるビームを生成する「実装段階」へと大きく前進した。

研究グループは今後、2027年から2028年頃にかけて運動エネルギー4 MeV(光速の約30%)までの加速を目指す方針だ。これにより人工的かつ可搬性を持つミュオンビームの基幹技術を確立する。最終的には200 MeV以上(光速の90%以上)への加速を実現し、ミュオンの異常磁気能率(g-2)や電気双極子能率(EDM)の精密測定を通じた素粒子標準理論の検証、さらには物質内部を非破壊で高精細に観察する「透過型ミュオン顕微鏡」の実現を目指す。

ひろし

4年以上の経験を持つ、魅力的なフリーランスライター。コンテンツライティングとジャーナリズムに長けています。Net24.Newsのレギュラーコントリビューター。 世界をより良い場所にするようなテーマで書くことが好きです。今は名古屋に住んでいます。

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