日本の「潜在する労働力」が15兆円も埋もれていることを小室淑恵氏が指摘 この資産を活用する…

同社が行った「埋蔵労働力資産の算出調査」(2025年)では、時短・パート・フリーランス勤務者に「現在の所定労働時間」と、「希望する所定労働時間」を調査。その差分は年間1人あたり約87.4時間で、「現在よりも多く働きたい」と考えている人が多いそう。
さらに、現在20〜69歳の休職・未就業者で「働く意向のある人」についても「希望する所定労働時間」を調査。結果は約15.5時間/週で、年間にして1人あたり803.6時間が「埋もれている」と試算できる。
また厚生労働省によると、日本の外国人労働者数(2023年10月末時点)は204万8,675人で過去最高を更新している。一方で法務省発表の在留外国人数(20〜69歳)は285万8,151人。つまり就労可能性のある外国人は80万9,476人で、40時間/週×52週/年を掛けると埋もれている労働力が推計できる。
内閣府発表の1人あたり名目GDPをもとに、労働者1人の1時間あたりの経済的価値を割り出すと2,573.3円。これを「埋もれている労働力」と掛け合わせると…
・対象:時短・パート・フリーランス勤務者
3兆8,935億5,363万5,063.15 円
・対象:現在休職・未就業者で働く意向のある人
6兆4,658億3,920万4,079.49 円
・対象:日本に在留している 20~69 歳の中で、現状労働市場に参加していない外国人
4兆3,327億5,458万7,498.12 円
で、合わせて約15兆円が「埋もれている労働力」となる計算だ。さらに近年IT・AIなどの最先端技術が様々な業界で導入されているが、これによる労働代替によって「埋もれゆく労働力」となる可能性を試算すると、その経済価値は約120兆円にものぼるという。
働き方改革のコンサルティングを行っている株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵氏は、さらに深刻化が予想される労働力不足の解決には「従来とは異なる新たな視点と具体的な行動が不可欠」だと指摘する。
「『うるる』が提唱する「埋蔵労働力資産」の画期的な点は、子育てや介護など私生活上の制約から働きたくても働けない方々、外国人、シニア層といった既存の労働市場から取りこぼされがちな『埋もれている労働力』を具体的な金額で資産であることを示した点です。さらに、IT・AIの効率化によって、現在は労働力として活用されていても、将来的に余剰として一時的に労働市場から出てしまう可能性のある『埋もれゆく労働力』まで包含し、その潜在的な力を社会の中で最大限発揮できるようにしようとしている点です」
育児や介護と両立できること、長時間労働前提ではなく誰もが時間内で成果を出せば評価されること。そうした転換が実現すれば、多様な事情を抱える労働者を活用でき、少子高齢化や人口減少に直面する中で、国内外の他国に先駆けた労働力活用モデルとしても注目されるのでは?と小室氏は話す。
「この提言を契機に、企業、自治体、教育機関、さらには個人が一丸となり、日本社会全体がこの資産を活用する新たな仕組みを創り出すことが必要です。国内に眠る「埋蔵労働力資産」を掘り起こし、新しい雇用と経済成長を実現するために、一歩前進する重要な機会となることを期待しています」
調査名:「埋蔵労働力資産」の算出調査(2025年)
調査手法:インターネット調査
調査規模:スクリーニング調査10,000人、本調査1,000人
調査対象:全国の20歳~69歳の男女
調査時期:2024年12月
調査会社:クロス・マーケティング
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提供(C)ライブドアニュース