社会

医師たちはどのようにしてインフルエンザを予防していますか?


インフルエンザが流行し、多くの人が感染症対策に悩む季節。多くの患者と接する医師はどのような対策をしているのでしょうか?今回は、川崎幸病院の救急科医師で部長を務める高橋直樹医師(※高ははしごだか)に、日常生活で実践していて、私たちもすぐに取り入れられる感染予防策について伺いました。

高橋医師は、ウイルス感染を攻略するために以下の3要素を挙げました。
1:ウイルスの侵入を減らすこと・防ぐこと
2:侵入してきたウイルスを自分の免疫でやっつけること
3:人(大切な人)にうつさないこと

手や口からのウイルスの侵入を防ぐには、不特定多数が触れる場所(ドアノブ、手すりなど)やマスクの表面に触れた後はアルコール消毒を行ったり、食事やおやつの前には必ず手を洗ったりすることが重要。泡石鹸で10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐ行程を2セットで行うことを勧めています。手を洗うのが難しい場合には、代替手段としてアルコール消毒や除菌シートを使用しましょう。
マスクの着用のほか、こまめな水分補給も口腔内の乾燥や雑菌の増殖を防ぐため、口からのウイルスの侵入を防ぐ手段として有効です。
また、帰宅時には玄関でコートを脱いで室内用の服に着替えたり、シャワーを浴びたりすることで、外から持ち込まれるウイルスへの対策になります。

侵入してきたウイルスをやっつけるためには、免疫力を高める生活習慣への意識が必要です。規則正しい生活のほか、良質な睡眠をとるために、寝る前にはスマホの使用を控えてリラックスできる音楽を活用したり、喉や鼻の乾燥を防ぐために寝室の湿度を45〜60%に保ったりすると良いでしょう。
また、食事も重要で、糖質・タンパク質・食物繊維をバランス良く摂取し、腸内環境を整えるために納豆、ヨーグルト、乳酸菌飲料を活用。生姜やココアで体を内側から温めるのもお勧めです。

軽い風邪の兆候がある場合には自宅内外でマスクを着用し、他者への感染を防ぐことが重要です。
ウイルスは自力では増殖できないため、人間(宿主)の細胞の中に入って増殖し、咳やくしゃみなどの体液を通して、人間から人間(動物)へ自らのコピーを広げていきます。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスはもちろん、多くの風邪のウイルスや少し話題となっているヒトメタニューモウイルス全てにおいて、共通していることは「抗生物質はウイルス感染には無効」「体に入ってきたウイルスと戦うためには、免疫機能の維持が重要」ということです。

高橋医師は「これらの対策は、生活に少しずつ取り入れやすい形で実践ができるかと思います。大切なのは、一人ひとりが意識して、無理なく継続することです。『救急現場で働く医師として』という観点ですと、夜勤も多く規則正しい生活はできません。その補填として、手洗い+マスク+消毒は当然のことながら、上記にもご紹介した『こまめな水分+休める時にしっかりと休息をとる+腸活』も徹底しています」と話しました。

※期待される効果には個人差があり、すべての方に同じ効果を保証するものではありません。

この人に聞きました

高橋 直樹

高橋 直樹 医師

社会医療法人財団石心会 川崎幸病院 救急科医師/部長

2008年産業医科大学医学部卒業。宮崎県立宮崎病院での初期研修。同院循環器内科専攻後、企業の産業医として勤務。2014年に産業医科大学救急部入局。2015年関東労災病院救急総合診療科医長を経て、2021年から現職。日本救急医学会救急科専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医ほか。
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