社会

第3回 予防・健康づくり領域の社会実装に向けたシンポジウム開催 に向けて ます。



2024年2月13日、医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED・エーメド)は「第3回予防・健康づくり領域の社会実装に向けたシンポジウム」を開催した。

本シンポジウムは、 科学的なエビデンスに基づいたヘルスケアサービスが社会に広まることを目的としている。セッション1では、「エビデンスに基づく予防・健康づくりの現在地」として、AMEDが作成する指針を中心に各ステークホルダーからヘルスケア領域の現状や期待などを紹介し、社会実装の仕組みについて議論していく。

セッション2では、「予防・健康づくりのサービスに求めるエビデンス」として、利用者や事業者が直面する課題を共有し、社会実装に向けたヘルスケアのあり方を議論する。今回の会場となった丸ビルホール&コンファレンススクエアには、ヘルスケア領域の専門家、サービス提供者・利用者といったステークホルダーがリアル、オンラインでおよそ1000名が集まり、ヘルスケア分野を取り巻く現状と課題、今後の展望について、登壇者の発表に耳を傾けた。

まだまだ発達途中の予防・健康づくり

AMED理事長の三島良直氏

開会にあたりAMED理事長の三島良直氏が挨拶。AMED設立10周年を翌年度に控えるいま、三島良直氏は超高齢化社会の影響から、健康寿命への関心の高まりを感じているという。本シンポジウムにおいて「アカデミアだけではなく、サービスを開発・提供する事業者や利用者とともに議論を進めていきたい」と語り、成長するヘルスケアサービスの未来を話し合う意義を強調した。

一般社団法人日本医学会連合および日本医学会副会長の磯博康氏

続く基調講演では一般社団法人日本医学会連合および日本医学会副会長の磯博康氏が登壇。日本の保健医療における予防・健康づくりの重要性について講演を行なった。

磯氏はWHOが提唱するセルフケア介入について言及。「エビデンスに基づく、かつ良質なツールとして、医薬品や医療機器と並び、デジタル情報技術が注目されている」と語り、WHOによる『セルフケア介入の概念的枠組み』では医療へのアクセスの場として、医療施設やコミュニティのほか、デジタル技術やプラットフォームが挙げられていると指摘。

医療関係者が患者との関係において責任を持つ狭義の医療とさまざまな分野に関わるセルフケアとの違いを強調し、「これから各方面の専門家から話題が提供されると思いますが、 ぜひ皆さんに、その議論に加わっていただければと思います」と本シンポジウムに期待をかけた。

経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐の小柳勇太氏

その後のセッション1では「エビデンスに基づく予防・健康づくりの現在地〜医学会による指針作成とヘルスケアの今後〜」をテーマに、経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐の小柳勇太氏が登壇。経済産業省が推進するヘルスケア産業の創出に関して、エビデンスに基づくサービス開発が適切に評価される環境整備が遅れていると指摘した。

事業者からの「エビデンスの重要性は理解しているが、企業体力の面等から難しい」といった声を紹介し、「経済産業省では、エビデンスの構築についてAMEDを通じて、オーソライズの仕組みについては事業者団体によるガイドライン策定とアカデミアによるエビデンスの整理という二方面から支援していく方針です」とサービスの社会実装に向けた展望を語った。

厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 課長補佐の上原真里氏

続く、厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 課長補佐の上原真里氏は、2024年度に厚生労働省が始める『健康日本21(第3次)』を紹介。「誰1人取り残さない健康づくりを推進するうえで、多様な主体による健康づくりが大きな柱になる」と語った。また『健康日本21(第2次)』において一部の指標が悪化したことから「生活習慣の改善を含め、 個人の行動と健康状態の改善を促す、より実効性を持つ取り組みが必要」との課題を指摘した。第3次では、女性の健康習慣の明記や新しいテクノロジーの活用を通じた個人の健康づくりへの貢献など、新たな視点を導入する計画があるという。

京都大学大学院 医学研究科 教授/AMEDプログラムスーパーバイザーの中山健夫氏

京都大学大学院 医学研究科 教授/AMEDプログラムスーパーバイザーの中山健夫氏がヘルスケアの世界における社会実装までの難しさに言及。エビデンス構築に関し、「医薬品などに比べて、非薬物的な改善ヘルスケアサービスのエビデンスが不十分」とし、オーソライズに関しては、「薬機法の対象外のヘルスケアサービスについて、蓄積したエビデンスをオーソライズする機能がない」と課題を共有した。

そのうえでAMEDが取り組むヘルスケア社会実装基盤整備事業について言及。最後にAMEDが重視する3つのLIFE「生命」、「生活」、「人生」を紹介し、「そこに科学的なエビデンスを加えることで、3つのLIFEをつなぎ、より良いヘルスケアで多くの人がさらに健康と幸せを実感できる社会を目指したい」と語った。

マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナーの酒井由紀子氏

マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナーの酒井由紀子氏は、海外と日本とのヘルスケアサービス実装の差を語った。「海外では、品質や有用性の指針が設定され、それによる評価が浸透し始めているが、日本ではサービスが最低限の品質やエビデンスを持たずとも普及されうる環境となっている」と日本の課題に言及。

海外からの学びとして、1,基準・指針へのサービスの実際の作用の見える化、2,出口に合わせたエビデンス構築を提案。「PHRやその他のヘルスケアサービスに対して、明確な基準、指針の設定に向けて検討を進めていくべきであり、また、評価に関しても、その方法論や結果の公表が透明性を持つよう努めることが重要であると考えています」と結んだ。

セッション後はヘルスケアサービスのエビデンスをいかに構築するか、有識者によるパネルディスカッションが行われた。

サービス提供者と利用者をどのようにつなぐか

<総合討議>
*モデレーター

■野出孝一氏(佐賀大学医学部長/AMEDプログラムオフィサー)
「私が専門とする循環器内科では、大規模な臨床試験の結果に基づいて、循環器領域の医療が大きく変化することもあります。医療の分野ではエビデンス・ベースド・メディスン(EBM)が重要視されていますが、ヘルスケアではエビデンスの存在がそこまで大きくなく、いまAMED主導でエビデンスの構築が進められています。ヘルスケア領域において、将来どのようなエビデンスやガイドラインが必要かについて議論していきましょう」

討議に入る前に、聴衆に対してアンケートを実施。AMEDが進める予防・健康づくり領域の指針に対するイメージを答えてもらった。「産業育成」や「規制緩和」といった回答が多く寄せられ、指針が産業に与える影響に高い関心が寄せられていることを示唆しました。

テーマ1:AMEDで作成している指針において、各領域との連携、また検討、期待することについて

*登壇者

■小山智也氏(日本デジタルヘルス・アライアンスWG4 subAリーダー)
「現在、ヘルスケア産業はまだ方向性を模索している段階です。日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)では、ヘルスケアサービスの類型化に向けて話し合っています。健康に無関心な人々の行動変容は難しいですが、長期的なデータ収集で方向性が明確になると考えます」

■古屋博隆氏(PHRサービス事業協会サービス品質委員会委員長)
「このサービスを利用すると、こんな行動変容が期待できると主張する場合、その根拠を明確に示す必要があります。私たちは、サービスの品質を確保しつつ、サービスの成長や新規参入を促進するために、エビデンスに基づくアプローチを重視し、エビデンス構築を推進するガイドラインを策定しています。今回のAMEDが進める指針とも連携した策定を行っていきたい」

■樋口毅氏(健康長寿産業連合会事務局長)
「健康経営を提供する企業として、顧客企業を見ていると、エビデンスベースの整理が不十分だと感じます。効果があるものが受け入れられるわけではないという現状から、消費者の意識向上が重要だと考えます。それによって、サービス提供者も質の保証を重視するという流れにつながっていくのではないでしょうか」

■酒井由紀子氏(マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー)
「ヘルスケア領域には、競争すべき部分とそうでない部分があります。サービスを開発する事業者が指針を参考にし、業界全体で協力して共通の基準を確立することで、利用者側も指針を参考にしてより良い意思決定や選択ができると期待しています」

■中山健夫氏(京都大学大学院医学研究科教授/AMEDプログラムスーパーバイザー)
「サービスの開発者、採択する組織、そして最終的な利用者を意識して、それぞれがどの程度のエビデンスを必要としているか、それが誰の意思決定に役立つかを整理していく必要があると思います」

■小柳勇太氏(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐)
「指針は、誰もが理解しやすいものであるべきです。アカデミア向けではなく、事業者や利用者にもわかりやすい形で提示されるべきです。事業者はサービス開発において適切に指針を参照し、それをビジネス開発に活かすことが重要です。一方、利用者も指針を参考にし、適切なサービスを選択することで、国民の健康向上と産業の発展を促進できると期待しています」

<総合討議>
テーマ2:どのような形で指針を普及していくのか、産業育成につながっていくのか

■小胗勇太氏(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐)
「経済産業省としては、『健康日本21』を推進する厚生労働省など他省庁との連携が必要であると考えています。また、事業者団体にはステートメントなどに指針を組み込んでいただき、学術界には成果物を通じて指針の普及を促し、予防・健康づくりへの関心喚起をしていただく。そして利用者には価格や口コミだけでなく、エビデンスにも注目していただけるよう、継続的に発信してまいります」

■中山健夫氏(京都大学大学院医学研究科教授/AMEDプログラムスーパーバイザー)
「指針が各方面に与える影響は非常に素晴らしいものです。それが学会から発信されるものであることは、信頼性を担保すると思います。だからこそ、一度作成しただけで終わらず、数年ごとに改訂するなど、医学の世界がどれだけ真剣に向き合っているのかを示す継続的な取り組みを行うべきです」

■酒井由紀子氏(マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー)
「米国精神医学会では、評価方法やエビデンスのレベルをウェブサイトに公開しており、医療従事者や関係者が自らサービスを考案し、開発し、評価できる環境が整っています。こういった事例が参考になると思います。また、保険者や地方自治体、雇用主、企業が利用できるポータルサイトや情報収集の場など、情報が一元的に提供されることが重要です」

■樋口毅氏(健康長寿産業連合会事務局長)
「私も情報が共有される場を整備する必要性を感じています。情報が一元化されることで、企業が取り組むべき課題や成果をより明確に把握できます。さらに、各企業が情報を公開する仕組みが整えられれば、提案や取り組みの効果に関する情報も総合的に管理できるでしょう。このような連携とデータ共有は、象徴的なレベルから具体的なレベルまで、非常に重要だと思います」

■古屋博隆氏(PHRサービス事業協会サービス品質委員会委員長)
「PHRサービス事業協会では、ガイドラインの発行を目指しています。しかし、既存のガイドラインやAMEDが支援する指針との整合性が欠けていると、サービス産業側に混乱をもたらす可能性があります。したがって、統一的な方向性を確保するために、指針の整合性を確認していく必要があると考えています」

■小山智也氏(日本デジタルヘルス・アライアンスWG4 subAリーダー)
「情報格差やヘルスケアのリテラシーの差について注目すべきだと考えます。例えば、医学教育や保健師の教科書にはデジタルヘルスに関する情報が不足しています。医薬品については、薬剤師や看護師による介入には問題がありませんが、医療アプリの使用方法を高齢者などの利用者に伝える際には、介在者のレベルによって課題が生じることがあります」

それぞれが感じたギャップから課題を見つける

その後のセッション2のテーマは「予防・健康づくりのサービスに求めるエビデンス〜ステークホルダ毎のサービスへの期待のギャップ〜」。利用者と事業者が考えるエビデンスに対するギャップを議論した。

健康経営アライアンス 事務局長の神谷直輔氏

最初に話題を提供したのは、健康経営アライアンス 事務局長の神谷直輔氏。健康経営を推進する企業から出てくる自社に合ったサービスはどれか、実効性はあるのかといった疑問の声を受けてソリューションカタログを作成しているという。「ソリューションに関する情報に加えて、推薦企業のコメントを掲載するなど、自社に適用できるかどうかの判断材料となる情報を提供しています」とその意義を語った。また、導入を検討する企業が求める情報についてヒアリングも行なっており、「客観的な効果を考慮したうえで、ソリューションや情報プランのアップグレードを進めていく計画です」と今後の展望を述べた。

PHRサービス事業協会 副会長の高木俊明氏

続いて、PHRサービス事業協会 副会長の高木俊明氏が登壇。「自分の検診結果を、本人が管理、閲覧できるようなインフラ整備を進めていく必要がある」とDX推進に言及。同時にデータセキュリティや個人情報保護に関するルール整備も進めていくという。

またサービスの信頼性について、「サービス品質委員会にて、サービスの情報セキュリティや広告表示、リコメンド等のあり方についてルールを検討しているところで、本シンポジウムで議論されている指針策定のAMED事業とも連携を行い、科学性と利便性を有したサービス創出に取り組んでいく」と協会の取り組みと今後の方針を紹介した。

「アカデミアの立場による指針が、事業者にとっての規制という形ではなく、第三者認証などの制度も含め、適切なイノベーションの方向を示すものへと進化し、有用性が満たされたヘルスケアサービスが実装されていくことを望みます」と事業者の立場からアカデミアへの期待を述べた。

日本デジタルヘルス・アライアンス会長の小林義広氏

日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)会長の小林義広氏は、デジタル化によって、スピードや正確性など、これまでに満たせなかった予防・健康ニーズにアプローチすることができるようになったと指摘。「行政や企業などのステークホルダーが一致団結することの重要性」を強調し、「利用者にとってわかりやすい情報が必要で、そのためにはエビデンスやサービスの価値を表現する方法や広告規制の整備が必要」と述べた。

そして「産官学が連携して取り組むことがデジタルヘルスの発展につながると信じている」と語り、環境整備の重要性を強調した。

AMED医療機器・ヘルスケア事業部主幹の阿野泰久氏

AMED医療機器・ヘルスケア事業部主幹の阿野泰久氏は、指針利用者のニーズについて調査結果を共有しました。自治体、健康経営企業、サービス提供企業のそれぞれが重視する項目や求めるサービスが異なることが明らかになり、「利用者ごとに求められるエビデンスの整理が重要である」と言及。また、「事業開発者側でもエビデンスのレベルは異なるため、ヘルスケア領域独特のエビデンスの整備が必要」と指摘し、「指針についても産業育成を目指したものであると周知しなくてはならない」と述べた。

<総合討議>
*モデレーター

■妙中義之氏(国立循環器病研究センター名誉所員/AMEDプログラムディレクター)
「産業育成との結びつきは極めて重要です。指針を作成しても、産業育成に活用されないとエビデンスの必要性が理解されず、結果的には規制のためのものになってしまいます。安全性や有効性、個人情報の保護も重要ですが、エビデンスを構築してサービスを開発し、社会実装していくことが不可欠です。このセッションを通じて、議論を深めていきたいと思います」

ここでも討議に入る前に、聴衆に対して簡単なアンケートを実施。ヘルスケアサービスを利用するエンドユーザにエビデンスの重要性を理解してもらうことが、社会実装においてどの程度影響を与えるか問うた。調査結果は、「影響があると思う」が53%、「強い影響があると思う」が39%という9割以上の参加者がエンドユーザにもエビデンスを理解してもらう必要性を感じていることが明らかになった。

テーマ:それぞれの立場で感じるギャップや自分たちのすべきこと、やっていくことについて

*登壇者

■後藤励氏(慶應義塾大学 経営管理研究科 教授/AMEDプログラムオフィサー)
「ヘルスケアサービスの目標にある行動変容から、医療費の削減といった効果も期待されています。しかし、長期的な費用対効果の評価は容易ではありません。研究ではどうしても長期的な予測になり、事業者に対して、費用対効果が高いと伝えることは難しい場合があります。そのため、利用者とメーカー側の間には、理解のギャップが生じる可能性があります」

■岩井孝久氏(株式会社ニッスイ 人事部労務健康企画課長)
「ヘルスケアビジネスの持続的な成長を考えるうえで、何よりも重要なのは質の高いコンテンツを提供することだと考えます。弊社では、従業員の健康増進を目的として導入したフィットネスアプリを採用していますが、利用率は15%にとどまっています。利用率を向上させるには、エビデンスに基づく裏付けが必要ですし、効果を持続的に実感できる内容でなければ、モチベーションを維持することが難しいと思います」

■杉岡孝祐氏(SCSK株式会社 ビジネスデザイングループ統括本部 事業企画推進部 担当部長/人事・総務本部D&I・Well-Being推進部担当部長)
「人事の立場から見ると、エビデンスに対する関心があまり高くないのが現実です。企業の文化や状況は一様ではないため、自社での取り組みが必ずしも成功するとは限りません。健康経営を推進するには、進める覚悟を明確なメッセージで伝えるとともに、インセンティブを導入することが重要だと考えます。これらの要素を組み合わせることで、従業員が積極的に取り組み、成果を実感し、取り組みを継続できるでしょう」

■牧野義之氏(神奈川県 政策局 いのち・未来戦略本部室 未病産業担当部長)
「効果については、短期的に見れば医薬品の方が優れているかもしれません。しかし、ヘルスケアは長期的な視点で継続可能かどうかや、喜びを感じられるかが重要で、個々人の生活や選択に応じたアプローチが求められていると思います。また、ガイドラインについては、目安にしながらも、現場での企業や自治体の取り組みを通じて、個々人の成長や変化を可視化していくことが重要だと考えています」

■萩原悠太氏(株式会社PREVENT代表取締役)
「エビデンスに基づいたアプローチが求められていますが、それが適切に評価されているようには思えません。例えば、自治体のプロポーザルの採点基準には、医学的な根拠に基づいたサービスが含まれることが多いですが、提供企業としては、重要視するということと、意思決定するというところに非常に大きなギャップがあると感じています」

■坂井康展氏(株式会社JMDC上席執行役員 保険者支援事業本部 本部長)
「私たちは健診とレセプトデータを収集し、17年間分のデータを蓄積してきました。しかし、管理コストが莫大なうえ、ヘルスケアの改善を見るためのデータエビデンスを構築したいという要望に対しても、標準化などといった課題から対応することができないのが実情です」

経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長の橋本泰輔氏

パネルディスカッション後には、会場からの大きな拍手でシンポジウムは締めくくられ、最後には、経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長の橋本泰輔氏が登壇し、シンポジウムを総括。その後は参加者同士の情報交換を図ることを目的に、アカデミア、サービス提供者、サービス利用者、本事業におけるステークホルダーの皆様とのネットワーキング・交流会も行われ、「第3回予防・健康づくり領域の社会実装に向けたシンポジウム」は熱を帯びたまま終了した。

【ヘルスケア社会実装基盤整備事業についての事業背景】
国内におけるヘルスケアサービス*は、診断や治療を扱う医療の製品・サービスと比較して、科学的なエビデンスに基づいて提供・利用するためのエビデンス構築状況やサービス開発・普及のための制度が未成熟です。(*公的医療保険制度によるものを除く) 

このため、ヘルスケア産業による製品・サービスについて、サービス提供者は、どのような評価方法(評価指標など)や研究デザインでサービスのエビデンスを構築すれば良いか、またサービス利用者にとっては、ヘルスケアサービスをどういう基準で選択すれば良いか、といった点で判断に迷うことがあります。これらは、ヘルスケアサービスの社会実装を進めるために大きな課題となっています。

そこでAMEDは、予防・健康づくりのためのヘルスケアサービスについて、科学的なエビデンスに基づいた社会実装を促進するために、「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケア社会実装基盤整備事業)」を令和4年度に開始。この基盤整備を通じて、ヘルスケアサービスの社会実装、そして一人一人のウェルビーイングや健康長寿社会づくりを推進します。また、本事業は、アカデミア、サービス提供者、サービス利用者などと連携して、共に成果創出を進めてまいります。

【国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED・エーメド)について】
AMED(エーメド)は、医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う機関として、2015年(平成27年)4月に設立された。基礎から実用化までの一貫した医療研究開発の推進と、その成果の円滑な実用化を図るとともに、研究開発環境の整備を総合的かつ効果的に行うために様々な取組を行う国立研究開発法人。





提供(C)ライブドアニュース

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