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人々の資産を守るには?日銀の追加利上げが示す新たな現実

日本銀行が追加利上げを示唆したことで、金融市場は再び緊張感を取り戻している。12月19日に日銀は政策金利を0.75%へ引き上げ、これは約30年ぶりの水準だ。今回公表された「意見要旨」では、複数の政策委員が「中立水準にはまだ距離がある」とし、数か月ごとの段階的な引き上げを検討する必要性を示した。

円高圧力と株価への影響

この動きにより、円相場はじわりと上昇し、ドル円は156円台前半まで下落した。米国との金利差が縮小し、これまで株高を支えてきた「円キャリートレード(低金利の円を借りて海外資産に投資する手法)」の巻き戻しが進む可能性がある。結果として、日経平均株価は50,526円台と0.5%下落した。

海外市場でも、米国株先物が小幅に下げるなど、投資家は金利環境の変化に敏感に反応している。

一般家庭や個人投資家への意味

この利上げは、単なる市場ニュースではない。消費者にとっては、住宅ローンやカードローンなどの金利が上がる一方で、銀行預金の利息も少しずつ改善するという二面性がある。特に「低金利時代」に慣れた家庭では、負債と預金のバランスを見直す好機となる。

資産を守るための実践的な4つのヒント

  1. 借入金の固定金利化を検討:変動金利型の住宅ローンは、今後の利上げで返済負担が増えるリスクがある。固定金利への切り替えを早めに検討したい。
  2. 外貨・海外資産への過剰依存を避ける:円高が進むと外貨建て資産の評価額が下がる。為替リスクのヘッジや資産の地域分散を考えることが重要だ。
  3. 国内債券や定期預金の再評価:金利上昇局面では、安全性の高い国内資産にも再び魅力が出てくる。金融機関の金利キャンペーンを比較しておくと良い。
  4. 短期の市場変動に注意を払いすぎない:一時的な為替変動に過度に反応せず、中長期的な視点で生活資金と投資資金を分けることがリスク回避の基本である。

日銀が「正常化」への道を進む中で、家計や企業は環境の変化に柔軟に対応する必要がある。一方で、実質金利の上昇は長期的には通貨の信頼を高める可能性もある。焦らず情報を整理し、金利上昇時代に合った資産の置き方を考えたい。

写真出典:日本銀行

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