社会

市場参入したGoogle Pixel Foldが、折りたたみスマホの認知度を一気に上げる


グーグルが5月に「pixel Fold」を発表した。
グーグルの「Pixel Fold」は、サムスンの「Galaxy Z Fold4」対抗ともいえる横型の折りたたみスマートフォンだ。

折りたたみスマートフォンは横折り、縦折り2つのタイプの製品がある。
横折り式のモデルは、ディスプレイを開けば小型タブレットサイズになり、半分にたためば普通のスマートフォンの大きさになる。

サムスンの製品は世界各国で販売されているが、今回グーグルの製品が加わることで、これからスマートフォンを買い替えようと考えている人も、折りたたみモデルに興味を持つ人が確実に増えると思われる。


グーグルからも登場する折りたたみスマホ「Pixel Fold」

世界の折りたたみスマートフォンの出荷台数は、まだ全スマートフォンの中で1%程度に過ぎない。とはいえ小型タブレットとスマートフォンという1台2役をこなせる横折りタイプの折りたたみスマートフォンは、

・スマートフォンより大きい画面を使いたい
・普段は普通のスマートフォンとして使いたい

このように相反する2つの要求や夢を実現できる製品だ。
価格は20万円を超えるものの、スマートフォンとタブレットの2台の購入価格を考えれば、折りたたみスマートフォン1台に集約したほうが便利という見方もできる。

そのため一度折りたたみスマートフォンを買ったユーザーは、次も折りたたみモデルを選択する割合が多いという調査結果もあるそうだ。

2022年の世界の折りたたみスマートフォンの総出荷台数は1420万台だった(ファイナンシャルタイムス)。
このうちサムスンは1100万台を出荷し、シェア77%と圧倒的に売れている。
2位以下はファーウェイ、OPPO、vivoと続くが、ファーウェイの出荷台数は200万台以下で、サムスンとの差は大きい。
これは中国メーカーの製品が2022年はほぼ中国国内でしか販売されていないからだ。
実はほかにもシャオミやHONOR、モトローラも折りたたみスマートフォンを出しているが、その存在はあまり広くは知られていないのが現状だ。


OPPOの「Find N2」。中国メーカーも各社が折りたたみスマホを出している

中国では折りたたみスマートフォンは10機種程度が販売されているが、グローバルでは現時点ではほぼサムスン製品のみと言えるのが現在の状況なのだ。
ファーウェイは一部の国で販売しているがグーグルサービスが使えず、購入を敬遠する消費者が多い。

一方、グーグルが折り畳みスマートフォン市場に参入すれば、
「サムスンか、グーグルか」
このように訴求力の強い選択肢となるのだ。

それにより折りたたみスマートフォンを選択するユーザー数も増えるだろう。

実は2023年に入ってからは、
・OPPOが、縦折り式のFind N2 Flip
・HONORが、横折り式のMagic Vs
これらを中国以外の市場でも発売した。

しかしどちらのモデルもまだまだ知名度は低い。
そのためせっかく海外で折りたたみスマートフォンを販売しても、そんな製品が出ていることすら知らないという消費者も多いのだ。

今回のグーグル参入は、この両者に取ってはライバルになるのではなく、市場を盛り上げ、折り畳みスマートフォンの認知度を上げてくれるプレーヤーの増加ということで、歓迎すべきものになりそうだ。

さてグーグルのPixel Foldは、新しいカテゴリーの製品とも言えるスマートフォンでもある。

同じ横折り式のスマートフォンで比べると、Galaxy Z Fold4は画面の縦横比が1.2:1と、縦に長い。また閉じたときの画面比は23:9で縦にスリムだ。

これに対してPixel Foldは0.8:1と横に長く、閉じたときは17.4:9で普通のスマートフォンの縦横比に近いのだ。

つまりGalaxy Z Fold4は開いたときにオフィスアプリを使うときなどは便利だが、動画などを見るときは画面を90度傾けた方が見やすいとなる。またペンを使って手書きもできるため、ビジネスやクリエイティブ用途にも向いている。

これに対してPixel Foldは開いた状態で横に長いので、
そのまま動画を見るのに適しており、エンタメ向けの端末と言える。
同じ横折り式の折りたたみスマートフォンでも、縦長タイプ、横長タイプでターゲットとする使い方が若干異なるのだ。


縦が長いサムスンの「Galaxy Z Fold4」

現在販売・発表されている横折り式スマートフォンを見てみると、開いたときの画面形状は、

○縦長画面
・サムスン Galaxy Z Fold4
・シャオミ Xiaomi MIX Fold 2
・ファーウェイ Mate X3
・HONOR Magic Vs
・vivo X Flip2

○横長画面
・グーグル Pixel Fold
・OPPO Find N2

このように2タイプに分かれている。
OPPOの製品はグーグルに先駆けて横手に長い画面を採用したが、グーグルが追従したということはその読みには先見性があったと言えるかもしれない。

この2つの横折り型に加えて、

○縦折り型のスマートフォン、
・サムスン Galaxy Z Fold4
・ファーウェイ Pocket S
・OPPO Find N2 Flip
・vivo X Flip
・モトローラ razr 40(仮称)

これらを合わせれば折りたたみスマートフォンのジャンルも、かなりの数の製品が出てきたことになる。

グーグルが折りたたみスマートフォンに参入したことは、これらの製品の認知度を高め、世界のスマートフォンユーザーの購買欲を刺激することになるだろう。

ただし折りたたみスマートフォンはまだまだ製造コストが高く、Pixel Foldも販売国はアメリカなど数か国に留まる。
しかしその販売国に日本が含まれるのは、グーグルが日本の消費者が最新技術の製品に高い興味を持っているということを熟知しているからだろう。

世界の多くの国の消費者にとって、日本でPixel Foldが販売されることはうらやましいことなのだ。

Pixel Foldが日本ではどれくらい受け入れられ、そして折りたたみスマートフォンの認知度をどれだけ高めるのか、日本での発売が楽しみだ。

執筆 山根康宏





提供(C)ライブドアニュース

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