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条件付き1円販売を可能にしたシャオミ5Gスマホ「Redmi Note 9T」発売! 低価格路線で急成長を続ける同社の不安要因とは -ライブドア



●シャオミが新製品5種を発表!
Xiaomi(シャオミ)は2月2日、オンラインにて新製品発表会を開催し、スマートフォンおよびスマートウォッチ、ウェブカメラなどの新製品を発表しました。

発表された製品は以下の通りです(価格はすべて税別)。
・Redmi Note 9T
5G対応ミッドレンジスマートフォン。
19,637円(※ソフトバンク直営店での価格)

・Redmi 9T
6,000mAhの大容量バッテリーを搭載したエントリークラスのスマートフォン。
15,900円

・Mi Watch
32gの軽量設計と最長16日間連続利用が可能なロングライフなスマートウォッチ。
11,800円

・Mi Watch Lite
安価で最長9日間連続利用ができるエントリークラスのスマートウォッチ。
6,800円

・Mi Home Security Camera 360° 2K
フルHDよりも解像度が高い2K(2304×1296ドット)による撮影および配信と双方向通話が可能なスマートカメラ。
4,800円


価格設定を間違えたのではないかと思うほどに安い。この価格がシャオミ製品の最大の武器。

●5Gスマホの1円販売を可能にした野心的な市場戦略
いずれの製品も、品質の高さと圧倒的な低価格が特徴で、シャオミらしさが存分に表れています。

中でも注目すべきは、5G対応スマートフォン「Redmi Note 9T」です。
本製品はソフトバンク専売となっており、ソフトバンクの直営店での販売価格は、一括購入の場合、19,637円(税別)となっています。
またソフトバンクのメリハリプランへの加入を条件として、販売価格が1円になります。

5Gスマートフォンとして国内最安クラスとなる2万円以下というだけでも衝撃ですが、それが発売直後から条件付きながら1円購入可能な商品として宣伝されることは、極めて異例です。

2019年10月に改正・施行された電気通信事業法では、スマートフォン(携帯電話端末)の割引上限が2万円までと規定されましたが、Redmi Note 9Tは通常販売価格の時点で2万円を下回っており、シャオミやソフトバンクのしたたかな市場戦略が感じられます。


法令を遵守しつつ圧倒的な価格インパクトを狙った見事な戦略

Redmi Note 9Tは、ミッドレンジスマートフォンとして十分な性能を備えています。
・SoCにSnapdragon 665よりも約2倍高速な「MediaTek Dimensity 800U」を搭載
・5,000mAhの大容量バッテリーと5G利用に最適化した省電力設計
・4800万画素のメインカメラを含む3眼アウトカメラ+1300万画素インカメラ
・6.53インチ・パンチホールタイプのフルスクリーン・フルHD+(2340×1080ドット)液晶ディスプレイ
・RAM容量 4GB、内蔵ストレージ容量 64GB、外部ストレージは最大512GBまでのmicroSDXCに対応
・生体認証技術は指紋認証と顔認証の2つに対応
・Felica(おサイフケータイ)対応

Felicaへの対応はシャオミ製スマートフォンとしては初であり、日本市場に合わせた進化と改良に積極的である点のアピールにもなっています。

一方で、防水や防塵といった機能には対応しておらず、フルセグ・ワンセグなどにも対応していません。
現在のスマートフォンユーザーが求めている性能や機能にターゲットを絞って低価格を実現しており、綿密な市場リサーチ力も伺わせます。


Felica機能の有無はメイン端末としての利用を左右する大きなポイントだろう

●米国による規制強化がどこまで影響するか
シャオミが日本市場に進出したのは2019年12月であり、まだ1年少々しか経っていません。

それにもかかわらず、SIMフリーのスマートフォン市場を中心にその知名度とシェアを大きく伸ばし、あっという間にSIMフリースマートフォンの有名ブランドへと駆け上がりました。

2020年にはauから5G対応スマートフォンとして「Mi 10 Lite 5G」も独占販売され、大手MNOが取り扱うスマートフォンメーカーとしての地位も確立しました。

今回のRedmi Note 9Tで、さらなる知名度向上とシェアおよび販路の拡大を狙います。


安定した品質と圧倒的な低価格は、SIMフリーススマートフォンユーザーにも高く評価された

飛ぶ鳥を落とす勢いのシャオミですが、その戦略に不安要素がないわけではありません。
それは米中による貿易摩擦および安全保障上の規制問題です。

米国のトランプ元大統領政権では厳しい対中国政策が敷かれ、ファーウェイはその矢面に立たされて世界のスマートフォン市場から大きく後退せざるを得ない状況へと追い込まれました。

当初シャオミはそういった規制対象には入っていませんでしたが、今年1月、トランプ元大統領政権は任期満了直前にシャオミを投資禁止企業リストに追加しました。

これは、ファーウェイが受けた米商務省による部品輸出規制リストへの追加ほど厳しい規制ではありません。
しかしながら、この規制方針はバイデン現大統領政権下でも大きく変化することはないと考えられています。
このため投資規制が長期に渡って継続されることで、成長戦略に陰りが出る可能性もあります。


中国企業の受難は続く

「質の良い製品を手頃な価格で」
このシャオミが創業以来守り続けてきたこの戦略は、日本市場でも高く評価され多くの人々に支持されました。

貿易摩擦という厳しい向かい風もまた、その目覚ましい成長による試練なのかもしれません。

執筆 秋吉 健





提供(C)ライブドアニュース

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