海外でメンタル疾患に好評の治療“ケタミン点滴”を行う 日本初のケタミンクリニックが名古屋にて開始 – Net24通信
治療抵抗性うつ病の治療にはストリートドラッグ(麻薬)が今のトレンド!?
治療抵抗性うつ病などのメンタル疾患に対して、海外で脚光を浴びているケタミンクリニックが日本で開始されることになりました。(名古屋麻酔科クリニック所在地:愛知県名古屋市)
「ケタミン」という名前をどこか聞いたことがありませんか?
医療従事者の方なら全身麻酔の注射剤や、がんの痛みに使う点滴薬などと言われるかも知れませんが、一般の方なら有名人がたまに薬物使用で捕まってるときに聞く幻覚剤ではないかと。
その薬は同じものなのですが、いま海外ではメンタル疾患治療の画期的な薬として脚光を浴びています。
ケタミンは、1960年代にミシガン大学の医師によって、処置のため鎮静させるための薬剤として開発されました。その後、手術室での手術の際の全身麻酔薬としてしばらく使用されていました。現在では手術麻酔薬としては一般的にあまり用いられなくなってきましたが、緩和医療などではモルヒネなどのオピオイド麻薬性鎮痛剤が効果がなくなってきた時などの最後の切り札的な鎮痛薬として今でも使われています。
そして注目に値することは、過去数十年にわたる研究により、ケタミンが治療抵抗性うつ病の治療選択肢としての可能性が示されたことでした。何が新しいかと言えば、従来の薬では、患者さんが症状の緩和を実感しはじめるまでには内服から数週間かかると一般的には言われているのに対し、ケタミン療法では、うつ病や希死念慮の症状を迅速に緩和することが示されています。
ケタミンは治療抵抗性うつ病患者に投与して数時間後に抗うつ効果を示し、その効果は1週間以上持続します。うつ病患者の自殺願望、希死念慮も劇的に改善し、自殺予防という点からも注目されています。
米国などでは、10年以上前からケタミンクリニックというケタミン点滴だけをするクリニック、部門があり、現在では全米各地に100クリニック程度あります。
また海外では、2019年にケタミンの製剤(エスケタミン:鼻腔スプレー)が認可されていて、治療抵抗性うつ病などに対して使用されています。ケタミンは光学異性体でありS体とR体があります。ケタミン注射薬はSとRの混在したラセミ体です。エスケタミンは名前の通りS体です。いまの所S体の評価としては、ラセミ体の注射薬のほうが良いのではないかと言われています。日本でもエスケタミンは治験されていましたが、フェイズ2で海外データとの相違がもとで不可となった経緯もあります。
またR体に関しては、今後期待される薬剤でもあります。現在大塚製薬がアールケタミンとして治験をはじめたところです。ただ、実用までにはまだ5年以上かかると聞いています。
うつ病のケタミン点滴は、治療抵抗性のケースで非常に効果的です。この健康状態への回復は、場合によっては何か月も、さらには何年も続く可能性もあり、抗うつ薬を服用する必要がなくなることも期待できます。ほとんどの患者さんは、優れた緩和の質も報告しています。他の治療法でしばしば経験する、平坦で無感覚な感情のない真の幸福感。治療は安全で、長期的な副作用はありません。
では実際にどのような感覚を受けるのでしょうか、もう少し詳しく記述があります。
自分が体の外に浮いているように感じたり、心地よく自分の身体を置き去りにすることができると、点滴を受けた患者さんは言います。人によっては、感覚が鋭くなり、色が鮮やかに見えることもあります。(名古屋麻酔科クリニックでの声として、聴覚が研ぎ澄まされ通常聞けない音が聞こえるとか、宇宙に放り込まれるなどと表現されることを聞きます。)
マサチューセッツ州ベルモントのマクリーン病院でケタミン療法を受けたマクギルさんは、「小さなものが浮遊しているような感じ」と語った。“本当に平和で穏やかで、静謐で美しいのです。”
他の患者は、制御不能なほど泣き出したり、不安になったりするかもしれません。一般的な副作用としては、吐き気、眠気、めまい、協調性の低下、解離感や非現実感などがあります。また、血圧が上昇することもあるため、治療中のモニタリングが重要です。
ケタミンは、患者に苦痛を与える思考パターンから精神的に解放されるような時間を提供するようだと、専門家は述べています。精神科医でCambridge BioTherapies社の創設者であるDaniel Brenner氏によれば、ケタミン治療中や治療後にネガティブな思考が静まり始めると、多くの患者は心理療法がより生産的になり、行動パターンの再構築が容易になるとのことである。“感情がより利用しやすくなる”とブレナー氏は言う。“単なる抗うつ剤ではなく、恥や自己嫌悪、自分を傷つけたいという欲求を生じさせる、脳内の反報酬回路をシャットダウンする薬でもあるのです。”
マサチューセッツ州モルデンに住む32歳の獣医師、アリエル・ウルフは、ブレナーに治療を求め、6月からケタミンの静脈内注入を始めた。
6回の治療の後、20年間うつ病と不安に悩まされていたウルフは、料理、ハイキング、読書、仕事仲間とのおしゃべりを再開しました。
“私は最高の気分でした、私の人生の中でこれまでよりも良い。”
「このように、私はいつもなりたいと思っていたのに、精神的に病んでいたためになれなかったのです。」
(出典:Ketamine for depression What it feels like and who it can help :By Rachel Zimmerman, the Washington Post online)
危険性や副作用については、ケタミンという薬剤自体は50年以上にわたって鎮静剤やその他の適応症により高用量で使用されており、非常に安全な薬であることが証明されています。現在でも小児麻酔によく用いられているくらいです。
ケタミン注入療法の最も一般的な短期的な副作用として、
・注入中の軽度の解離
・点滴の翌日の残りの時間、疲れやだるさを感じる
・注入中の軽度の吐き気
・直後のめまい、通常は数時間以内に完全に消失
などがあります。
またどの施設からの報告でも、ケタミンによる長期的な悪影響は見られないということをよく見かけると同時に、当院においても痛みに対して1,000回以上行ってきましたが、問題は特にありませんでした。
メンタル疾患に対してのケタミン点滴は、保険診療として基本的に認められていません。
ケタミンは広く入手可能な後発医薬品であり、製薬会社が大規模で質の高い試験に資金を提供するインセンティブはないので、今後もケタミン点滴が保険適応になることはないと思われます。
“ケタミンクリニック in 名古屋麻酔科”として、気分障害、強迫性障害、PTSDの治療(自由診療)を2023年より開始することとなりました。日本で初めてのケタミンクリニックです。
2010年以来の痛みに対するケタミン点滴経験をもとに、革新的でエビデンスに基づく思いやりのある方法を通じて、治療抵抗性の状態に苦しんでいる方々を支援して参ります。
ケタミンクリニック in 名古屋麻酔科: https://nagoyamasui.com/%E3%82%B1%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E7%99%82%E6%B3%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
名古屋麻酔科クリニックHP : https://nagoyamasui.com/
名古屋麻酔科クリニックInstagram : https://www.instagram.com/nagoyamasui_clinic/
——————————————————————-
プレスリリース提供元: @Press