海岸漂着ゴミの25%が日本から発であることを日本の海ゴミ調査の生徒が出雲にやった
日本海側の海岸に漂着する海ゴミは、その多くが朝鮮半島や中国大陸から流れてくるものだというイメージがあるが、どうも違っていたらしい。また、海ゴミの多くは廃棄された漁具だというイメージがあるが、じつはこれも違っていた。周辺国および漁業関係者のみなさん、疑ってごめんなさい。
島根県出雲市の出雲西高校が出雲市と連携し、出雲市を流れる神戸川河口周辺の海岸で今年8月に海洋ゴミの調査を行ったもの。
その結果、ゴミの出所は日本が25パーセント、韓国が10パーセント、中国が10パーセント、ロシアが0パーセント、不明が55パーセントだった。ゴミの種類は、生活ゴミが52パーセント、漁業ゴミが43パーセント、その他が10パーセントと判明した。
海洋ゴミの問題は、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」でも大きく取り上げられている。なかでも海の生態系や環境への影響が大きいプラスチックゴミは、陸地から海に流れ出たものが大半であることが以前から指摘されていた。国連環境計画の調査によれば、世界で年間900万〜1400万トンのプラスチックが海に流出しているとのこと。つまり、海洋ゴミの問題の多くは陸上のゴミ問題であり、日本の陸地に暮らす私たちがゴミをしっかり管理すれば、ある程度、海を守れるということだ。
今回の調査では、出雲市内の100人を対象にゴミに関するアンケート調査も行っている。それによると、レジ袋を断っている人が72人、地域の清掃活動に参加している人が31人(複数回答)などとなっている。また、観光地でポイ捨てされたゴミを拾ったことがあるかとの問には、「ある」の36人に対して「ない」が41人と上回ったが、「今後やりたい」と答えた人が23人いた。「ある」と「やりたい」で半数を超える。出雲市民のゴミに対する意識が高いことがわかった。
出雲市では今年度から、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」しまね実行委員会と連携し、「神々の国 海ごみゼロプロジェクト」を立ち上げ海岸の掃除などの活動を行っている。島根西高校との共同調査は、その一環。調査結果は、10月29日と30日に出雲ドームで開かれた「いずも産業未来博」にて、出雲市、出雲西高校、出雲工業高校と共同で発表された。
文:金井哲夫
出典:世界経済フォーラム-アジェンダ (CC BY NC-ND 4.0) URL