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日米経済政策協議委員会-経済版「2+2」

 現地時間7月29日09時06分(日本時間29日22時06分)から約130分間、日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)が開催され、日本側からは林芳正外務大臣及び萩生田光一経済産業大臣が、米側からはアントニー・ブリンケン米国国務長官(The Honorable Antony Blinken, Secretary of State of the United States of America)及びジーナ・レモンド米国商務長官(The Honorable Gina Raimondo, Secretary of Commerce of the United States of America)が出席したところ、概要は以下のとおりです。また、会議終了後、共同声明(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く)が発出されました。

  1. 冒頭、ブリンケン長官及びレモンド長官から、安倍元総理の逝去に対する哀悼の意が示されたのに対し、林大臣及び萩生田大臣から、バイデン大統領を始めとする多くの米国政府関係者からの弔意に対する感謝を表明しました。
     林大臣から、外交・安全保障と経済を一体として議論する経済版「2+2」は時宜にかなった枠組みであり、持続的・包摂的な経済成長とルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向け、日米で指導力を発揮していきたい旨述べました。また、萩生田大臣から、自国の要求のために経済力を行使する試みへの対抗や、最先端技術の秩序ある開発・利用といった課題に日米で向き合い、経済秩序を構築していく本枠組みが自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた羅針盤となると述べました。
  2. 4閣僚は、世界が、いまだに、サプライチェーンの混乱や物価上昇、格差の拡大を引き起こした新型コロナの流行からの回復途上にある中で、ロシアによるウクライナ侵略によって状況は悪化し、さらに世界のエネルギー安全保障及び食料安全保障が脅かされているとの認識を共有しました。また、4閣僚は、サプライチェーンの強靭化や重要新興技術の促進・保護、安定的なエネルギー供給の重要性に加え、既存の国際秩序が、力による一方的な現状変更の試みのみならず、経済的な影響力を不公正・不透明に行使し、自らの戦略的利益を実現しようとする試みによっても挑戦を受けているという危機感を共有し、外交・安全保障と経済を一体として議論し、日米が国際社会の連携をリードしていくことで一致しました。
  3. 4閣僚は、(1)ルールに基づく経済秩序を通じた平和と繁栄の実現、(2)経済的威圧と不公正で不透明な貸付慣行への対抗、(3)重要・新興技術と重要インフラの促進と保護、(4)サプライチェーンの強靭性の強化について議論を行いました。
  • (1)ルールに基づく経済秩序を通じた平和と繁栄の実現
     最初に林大臣から、経済が外交・安全保障に強い影響を与えている今日、日米が同志国とも協力して国際秩序の維持・発展と各国の経済安全保障の確保に取り組むことが重要である旨述べ、閣僚間で議論を交わしました。また、林大臣及び萩生田大臣から、米国によるインド太平洋経済枠組み(IPEF)への日本の支持と協力に加え、米国のTPPへの早期復帰に対する強い期待を伝達するとともに、デジタルや人権分野での連携強化の必要性も強調しました。また、4閣僚は、エネルギー安全保障や食料安全保障確保の重要性で一致し、ロシアによるウクライナ侵略によって深刻な影響を受けている国への協力についても議論を行いました。
  • (2)経済的威圧と不公正で不透明な貸付慣行への対抗
     最初にブリンケン長官から、経済的威圧及び不公正・不透明な貸付慣行等、各国に影響を及ぼそうとする経済的影響力の行使への反対が示され、日米のみならず国際社会全体で連携していくことの必要性が提起されました。4閣僚はこうした行為への対応について議論するとともに、これらがルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序への挑戦であるとの認識を共有し、多くの同志国と連携していくことの重要性を確認しました。そして、不公正・不透明な開発金融について、全ての関係国が国際ルールやスタンダードを遵守するよう連携していくことで一致しました。また、林大臣及び萩生田大臣から、G7エルマウ・サミットでも取り上げられた経済的威圧について、来年のG7広島サミットに向けて議論を深めていきたい旨述べました。
  • (3)重要・新興技術と重要インフラの促進と保護
     最初に萩生田大臣から、日米における半導体を含む重要新興技術の共同研究開発の重要性を強調したうえで、特に次世代半導体技術開発に向けた、研究・学術機関等が参画する新たな研究開発組織の設立について紹介し、米国機関の参画も求めました。また、第三国展開も含む信頼性のある情報通信インフラの普及拡大に関し、オープンRANの5G国際市場シェアの顕著な増加に向けて日米で協力することで一致しました。そして、こうした分野を中心に、価値観を共有する日米が共に経済安全保障強化に向けて連携することの重要性を提起し、4閣僚は、日米間のみならず同志国との協力も推進していくことで一致しました。萩生田大臣と林大臣からは、重要インフラに対する脅威情報の共有における日米協力についても提起しました。
  • (4)サプライチェーンの強靭性の強化
     最初にレモンド商務長官から、輸出管理に関する日米協力を具体的に推進していくことの必要性と半導体の分野でのサプライチェーンの強靭化における日米協力について提起がありました。4閣僚は、ルールに基づく多角的な自由貿易体制を基本とし、同志国とも協力してより強靭なサプライチェーンを構築する必要性について一致しました。萩生田大臣と林大臣からは、先日米国が主催した「サプライチェーン閣僚会合」成功への祝意に加え、半導体、蓄電池、重要鉱物等の分野での日米協力について提起しました。
  1. 4閣僚は、日米が、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の最大の擁護者であり続ける必要を再確認し、両国の経済政策、インド太平洋地域を含む地域の経済秩序の構築、経済安全保障などの分野において、国際連携をリードしていく決意を確認しました。また、昨年4月に合意した日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップに基づく協力を推進し、来年日本が議長国を務めるG7、米国が議長を務めるAPECの場を含め、同志国と共に関連分野での議論・協力を深めていくことで一致しました。また、経済版「2+2」を定期的に開催するとともに次官級でより具体的にフォローアップさせることでも一致しました。

出典:外務省ホームページ 

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