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「岸田文雄首相は、ハンドルを切り、日本をアベノミクスから遠ざけることを誓う」

新たな指導者は、就任後初となる海外メディアによるインタビューで自身の経済政策について語った。

日本の新たな首相は、約10年間にわたって経済を規定してきたアベノミクスの下で、自らの党がより広範な成長を実現できなかったと非難し、日本を新自由主義的原理主義から脱却させると約束した。

岸田文雄首相は、今月日本の首相に就任してから初の海外メディアとのインタビューの中で、依然として規制改革は必要だが、貧富の格差を解消することに焦点を当てて取り組むと語った。

岸田首相は、「アベノミクスは間違いなくGDP、企業収益、雇用の面で成果を挙げた。しかしながら、好循環を生むというところまでは辿り着けなかった」と述べ、岸田首相の前任者2人が推進し、東京株式市場の株価を倍増させた政策を攻撃した。

「私は一部の人間だけではなく、幅広い方々の所得を引き上げることで消費を喚起し、経済の好循環を実現したい。これが新しい資本主義がこれまでとは違うポイントである」と岸田首相は付け加えた。

日本で「新自由主義」 といったとき、厳しい財政政策や公共支出の削減ではなく、規制緩和、民営化、労働市場改革を始めとする1990、2000年代の改革を指すことが多い。

岸田首相は、2020年9月に辞任した最長の在任期間を誇る安倍晋三元首相を暗に批判することで、10月31日の総選挙に向けて計算されたリスクを取っている。

最近の世論調査では、岸田首相の平均支持率は50%をわずかに上回り、就任時の大半の前任者よりもかなり低く、意味のある改革を実行するためのハネムーン期間は短いかもしれないことを示している、と複数の政治アナリストは述べた。

岸田文雄首相
現職:今月、自民党総裁に選出され、菅義偉氏に代わって首相に就任した。
学歴:早稲田大学
これまでの職責:外相、防衛相。また、47名の議員を擁する自民党派閥の宏池会を率いる。
政治以外の職務経験:旧日本長期信用銀行、現新生銀行
政策と性格:より公平な富の分配を求めつつ、コロナウイルス関連の景気刺激策と積極的な金融政策の継続にコミットしている。「慰安婦」問題を解決するために交渉したが、2015年の韓国との合意はその後決裂した。

元外相である岸田首相が菅義偉氏に代わって自民党総裁に選出されたのは、岸田首相が「現状維持」の安定と継続を前提にしたためだ。

そのイメージを払拭しようとしたにもかかわらず、岸田首相の主要政策の一つである金融所得税の引き上げにつき、最近になって回復してきた国内の個人投資家の利益を相殺することになるとの懸念から株価が急落した後、岸田首相は同政策を撤回した。

岸田首相は、企業が賃金を引き上げ、看護師や介護福祉士の賃金を引き上げるための税制優遇措置を含む新たな経済アプローチは、2000年代半ば以降の日本の政策決定を導いてきた「トリクルダウン」理論と市場主導型改革の失敗を逆転させることの試みであると強調した。

「皆、規制改革を単なる市場原理、競争、弱肉強食として捉えてしまっている。そのことが規制改革に関するこれまでの考え方の問題である。」と岸田首相は述べ、企業や国民に対して経済に関するより包括的な見方を持つよう求めた。

また、岸田首相は経済安全保障の要となる半導体やレアアースなどの戦略物資や技術を確保するため、国家と民間セクターの連携を深めることも視野に入れている。

岸田首相は、「経済の自律性を確保するということが、これからの成長を考えていく場合に重要となる」、「世界のサプライチェーンを完成させる上で極めて重要となる技術を日本が持っていることを確保することで、不可欠性を実現できる」と語った。

岸田首相は、積極的な金融緩和や財政出動に加え、アベノミクスの柱となってきたコーポレート・ガバナンス改革に関しても、新たなアプローチをとる可能性があることを初めて公に表明した。

日本は2015年に最初のコーポレートガバナンス・コードを導入したが、岸田首相は中小企業のニーズに対応するために別のコードが必要になるかもしれないと述べ、「同じルールを当てはめるのは現実的ではない。コーポレート・ガバナンスは中小企業にとっても重要だが、中小企業は大企業と同じにはできない」と説明した。

企業幹部たちは、アベノミクスが9年近くにわたって国民の強い支持を受けてきたにもかかわらず、日本をデフレから脱却させることに失敗し、厳しく規制された市場を開放できなかったことを指摘し、新首相の経済政策について個人的に懐疑的な見方を示してきた。

また、岸田首相はこれまで以上に攻勢に出る中国と、新型コロナウイルスのパンデミックの混乱を受けた世界的なサプライチェーン確保の動きなど、これまで以上に複雑な地政学的環境に直面している。

米国が中国への対抗力を強化するために英豪と結んだ新たな三か国の安全保障協力の枠組みについて問われると、岸田首相は日本が同枠組みに参加する具体的な予定はないと答えた。

岸田首相は、「地域の安定を考えた場合、欧米諸国がアジアの安全保障環境に関心を持ち、関与することは非常に重要ではないかと思う」とも付け加えた。

岸田首相は、歴史的に中国に対してハト派の立場を取ってきた自民党の派閥を率いるが、首相としてミサイルや他の防衛力の強化を訴えている。

今回の選挙で与党は、防衛費をGDPの1%以内に抑えるという長年の伝統を破り、防衛費を倍増させることを初めて公約に盛り込んだ。

岸田首相は、中国の最近の「いかがわしい行動」について言及する直前、「経済分野で中国との関係を安定させることが重要である」と述べた。

「よって、日本は中国に対して、政治レベルで物は言っていかなければならない。」


出典:外務省ホームページ(揭載のURL

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