G20バリ・サミット— 金融・世界経済に関する首脳会合

11月15日及び16日、インドネシア・バリにてG20バリ・サミットが開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
 今回のG20サミットでは、「共に回復し、より強く回復する(Recover Together, Recover Stronger)」のテーマの下、2日間にわたり、食料・エネルギー安全保障、国際保健、デジタル・トランスフォーメーションといった課題について議論が行われました。
 岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難し、ロシアによる核の脅しも使用もあってはならない旨を訴えるとともに、来年のG7日本議長年を見据えつつ、これらの重要課題に関する日本の立場と取組を積極的に発信し、議論に貢献しました。 議論の総括として、G20バリ首脳宣言が発出されました。

1.セッション1「食料・エネルギー安全保障」

(1)本セッションでは、日本を始めとする多くの国が、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難するとともに、食料・エネルギーの価格の高止まりや供給不足といった問題への緊急の対応の必要性について、G20の間で認識が共有されました。

(2)岸田総理大臣からは、冒頭、力による一方的な現状変更の試みにより国際社会はポスト冷戦期の終わりという歴史の岐路に直面している旨述べ、ロシアによる侵略に全力で立ち向かうウクライナとの連帯を改めて表明するとともに、今回の会合へのゼレンスキー・ウクライナ大統領によるオンラインでの参加を歓迎しました。また、岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず国際社会全体の根幹を揺るがす、法の支配に基づく国際秩序に対する挑戦であるとして、最も強い言葉で非難するとともに、国際社会が依拠すべき原則を守るべく、結束して対応することが重要である旨述べました。更に、ロシアによる核の脅しは断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならないと強調し、国際社会が明確なメッセージを発する必要がある旨述べました。

(3)岸田総理大臣は、ロシアによる侵略が食料・エネルギーの価格の高止まりや供給不足を始め世界経済に深刻な影響を与えている旨指摘するとともに、ロシアは対露制裁がこの原因であると主張しているが、対露制裁は食料や肥料を対象としておらず、ロシアによる侵略が原因であることは明らかである旨強調し、侵略の即時停止をロシアに改めて強く求めました。また、「黒海穀物イニシアティブ」は世界の食料供給にとって極めて重要である旨指摘し、ロシアに対し、同イニシアティブが当初の期限を迎える11月19日以後も協力を継続するよう強く求めました。

(4)岸田総理大臣は、食料・エネルギー安全保障、特に廉価な食料・エネルギーへのアクセスは、人々が尊厳をもって生きるための基盤を成すものであり、先進国・途上国の別を問わず、特に脆弱な立場にある人々の食料・エネルギー安全保障が脅かされている今、緊急の対応が必要である旨強調しました。その上で、日本はウクライナ侵略に起因するグローバルな食料危機への対応として計約2億ドルの支援を実施中であることを紹介し、食料・エネルギー価格の高騰等により深刻な影響を受けるアジア、アフリカ、中東等の国々への食料支援を含む緊急支援を一段と強化する考えである旨述べました。その一例として、日本は、本年9月の国連総会でゼレンスキー大統領がエチオピアとソマリアに対するウクライナ産小麦の無償提供を表明したことを受け、国連世界食糧計画(WFP)を通じ、この小麦の輸送と配布を支援することを紹介し、今後もこうした具体的な取組を進めたいと述べました。

(5)岸田総理大臣は、中長期的な取組として、食料・エネルギー市場の安定化のため、市場の透明性を確保し、恣意的措置や政治的利用を防止することが必要である旨述べました。そのために、食料については、G20から生まれた農産物市場情報システム(AMIS)の強化による市場の透明性確保、供給源・供給経路の多角化・強靱化、途上国等の国内生産能力強化も進めていく必要がある旨強調しました。また、エネルギーについては、2050年ネット・ゼロの中長期的な目標を掲げることは引き続き重要である旨述べると同時に、脱炭素化を進める過程で脆弱な層が取り残されてはならず、上流投資や供給源の多角化を含めエネルギー安全保障を確保した上で、現実的なエネルギー移行を着実に進めていくことが重要である旨述べました。岸田総理大臣は、こうした問題意識の下、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の実現に向けて取り組んでいく考えを表明しました。

2.セッション2「国際保健」

(1)本セッションでは、G20の間で、新型コロナの経験も踏まえ、国際保健分野における協力が改めて確認されました。

(2)岸田総理大臣からは、新型コロナからのより良い回復に向け、「誰の健康も取り残さない」ため、G20を含む世界全体で国際保健課題に対応する必要がある旨述べました。また、岸田総理大臣から、日本は、多国間主義の下、開発途上国での新型コロナ対策の取組等に対し、総額50億ドル規模の包括的な支援を行ってきたことを紹介しつつ、今なお新型コロナのパンデミックは終わっておらず、我々は対応の手を止めてはならない旨強調しました。

(3)岸田総理大臣から、将来の健康危機の予防・備え・対応(PPR)に万全を期すため、グローバル・ヘルス・アーキテクチャの強化が急務となっている旨述べ、いわゆるパンデミック条約を始めとする国際規範や、平時・有事の資金メカニズムの整備、首脳の下での財務・保健連携枠組の強化、途上国を含む医療への公平なアクセスの確保等の課題に早急に取り組んでいく必要がある旨強調しました。岸田総理大臣は、こうした観点から、PPRのための金融仲介基金が世界銀行の下に設立されたことを歓迎するとともに、日本は計5千万ドルの貢献を行うことを表明した旨紹介しました。

(4)岸田総理大臣は、健康危機への備えとして、強靭かつ持続可能な保健システムの構築が必要不可欠である旨強調しました。岸田総理大臣は、新型コロナの影響で後退した幅広い国際保健課題への対応を強化するためにも、より強靱、公平かつ持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を実現する必要がある旨述べた上で、UHC達成に資する保健システム強化への貢献も意図して、先般日本がグローバル・ファンドに対する最大10.8億ドルのプレッジを表明したことを紹介しました。

(5)岸田総理大臣は、明年日本がG7広島サミットを主催することを紹介し、国際保健をその重要課題の一つと位置付けたいとの考えを示すとともに、将来の健康危機への対応に資する国際的な枠組の強化に取り組んでいく旨述べました。また、岸田総理大臣は、新型コロナの経験を踏まえた新しい時代のUHCの達成に向け、G20各国とも緊密に連携しつつ、引き続き国際保健分野でリーダーシップを発揮していく決意を示しました。

3.セッション3「デジタル・トランスフォーメーション」

 G20メンバーは、世界経済の回復にはデジタル・トランスフォーメーションの加速が不可欠であるとの認識を共有するとともに、偽情報キャンペーンやサイバー上の脅威などへの対応の重要性や、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)に引き続き取り組んでいく旨を確認しました。
 また、G20メンバーは、持続可能な開発においてデジタルが果たす役割の重要性を確認し、安価で高品質なデジタル技術の推進をはじめ、社会のデジタル化から誰一人取り残さないための取組を強化していくことを確認しました。

[参考1] G20バリ・サミット

(1)日程

  • ・11月15日(火)
    第1セッション 食料・エネルギー安全保障
    第2セッション 国際保健
  • ・11月16日(水)
    第3セッション デジタル・トランスフォーメーション

(2)参加国・国際機関

  • ア G20メンバー
    インドネシア(議長国)、日本、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU
  • イ 招待国
    スペイン、オランダ、シンガポール、カンボジア(ASEAN議長国)、セネガル(AU議長国)、スリナム(CARICOM議長国)、ルワンダ(NEPAD議長国)、フィジー(PIF議長国)、アラブ首長国連邦、ウクライナ
  • ウ 国際機関
    アジア開発銀行(ADB)、金融安定化理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、イスラム開発銀行、経済協力開発機構(OECD)、国際連合(UN)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)

出典:外務省ホームページ (Link)
写真提供:内閣広報室

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