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スマホのカメラに2億画素! 老舗モトローラが打倒シャオミを目指す -ライブドア

スマホのカメラに2億画素! 老舗モトローラが打倒シャオミを目指す


もう進化は打ち止めかと思われたスマートフォンのカメラ。
その予想に反してスマートフォンのカメラ性能は、最近になり著しくレベルアップが進んでいるのだ。

すでにAndroidスマートフォンでは、1億800万画素のカメラを搭載したモデルが多数登場しているが、さらに2022年になり、2億画素搭載モデルも登場した。

8月に中国で発売になったモトローラの「Moto X30 Pro」は、業界初の2億画素カメラを搭載したモデルだ。

しかも超広角カメラは5000万画素とこちらの画素数も高い。
このMoto X30 Proは海外市場でも「Motorola Edge 30 Ultra」として販売されている。
さらにモトローラに続き、シャオミなどが10月から海外で2億画素カメラ搭載スマートフォンを発売した。


2億画素カメラを搭載した「Edge 30 Ultra」

2億画素というとさぞかしきれいな写真が撮れることだろう。
とはいえスマートフォンのカメラが光を受光するセンサーの物理的な大きさはデジタルカメラと比べると、決して大きくはない。

スマートフォンの小さいセンサーの上に2億もの画素を搭載するということは、1つ1つの画素自体は小さくなる。このことで感度が下がり、暗所での撮影では不例になる。

一概に2億画素だから優れている、とも言えないのだ。

だが最近のスマートフォンはあえて画素数を抑えて高画質な写真を撮影する機能を搭載している。

iPhone 14 Proは前モデルの1200万画素から4800万画素へと大幅に画素数を上げた。ところが写真を撮影した結果は1200万画素相当のものとなる。これはセンサー上にある4800万の画素を、4つを1つにまとめるピクセルビニングという技術を使っているからだ。

この技術により1つ1つの画素が小さくなる問題をカバーし、感度を高めることが可能にしているのだ。

Androidスマートフォンでも、4800万画素や5000万画素、1億800万画素のカメラを搭載しているモデルも標準で撮影すると1200万画素相当になるのは、これらもピクセルビニングを使用しているからだ。

モトローラの2億画素カメラも同様にピクセルビニングを採用している。
採用されているセンサーはサムスンの「ISOCELL HP1」というもので、16個のピクセルを1つにまとめることができる。つまり仮想的な1つの画素が16個の小さい画素で構成されるのである。これにより暗所での撮影性能を向上させることができる。


16画素を1つにまとめるモトローラのスマホ(左)。一般的なスマホは4画素を1つにまとめる(右)

もちろん2億画素を搭載する大きなメリットも当然ある。
明るい環境で風景写真を撮影すれば、細かいディテールもしっかりと撮影できるからだ。
スマートフォンの画面で2億画素の写真とピクセルビニングした写真を比べても差はわからないが、PCの画面で拡大表示するとその差は一目瞭然。
2億画素で撮影すれば一部分を切り取って拡大しても、まったく遜色なく使うことができる。
画面内に写っている一部でも、拡大して使うことも十分に実用的なのだ。

その一方、2億画素で撮影すると写真の画像ファイルサイズは数十MBと巨大になる。
このあたりは撮影シーンに応じて使い分けるのがいいのだろう。

実際にiPhone 14 Proも4800万画素で撮影するには「ProRAW」で撮影する必要がある。

さてここ数年、スマートフォンのカメラの画素数ではシャオミが業界をリードしてきた。

シャオミは1億800万画素カメラを業界で初搭載したし、コスパモデルのRedmiシリーズの一部にも1億800万画素カメラを搭載している。
日本で発売中の「Redmi Note 11 Pro 5G」も1億800万画素カメラを搭載している。

シャオミのここ数年での躍進を果たした1つの理由は、惜しげもなく高画質カメラを搭載してきたことが上げられるだろう。


シャオミの「Redmi Note 11 Pro 5G」は1億800万画素カメラを搭載

今回、モトローラが「2億画素カメラ」を他社よりも率先して搭載したのは、シャオミのように消費者へ最新技術を搭載するスマートフォンを出すメーカーという部分をアピールする狙いもあるだろう。

老舗のメーカーであるモトローラもグーグル傘下を経て今はレノボの一員になっている。
レノボとしては、PC市場においては「ThinkPad」と「Lenovo」という2つの大きなブランドを武器に大きな存在感を示すことに成功している。

しかしスマートフォンでは、いまだにシェア上位に食い込めていない状況が続いている。
一時は低価格モデルで人気を博したが、中国メーカーの低価格モデル攻勢により、一時期ほどの勢いは感じられなくなっていた。

そこで高画素カメラ搭載スマートフォンを他社より先に出す戦略に舵をきったのだ。
モトローラでは、コスパモデル「Gシリーズ」の最新モデル「moto G72」にも1億800万画素カメラを搭載した。

多くの消費者は「高画質カメラ搭載スマホ=高性能な製品」という印象を持つ。

これまでモトローラのスマートフォンを価格以外では気にとめなかった層も、安くて高性能な製品として注目、認識されるだろう。

アップルとサムスン以外、中国ブランドばかりが目立つスマートフォン市場だが、高画質カメラを搭載したモトローラの逆襲と躍進奮起に注目したい。

執筆 山根康宏





提供(C)ライブドアニュース

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