ハネウェル、次世代吸入薬向けの開発でアストラゼネカと提携 GWP(地球温暖化係数)がほぼゼロの噴射剤を採用 – Net24通信
[米ノースカロライナ州シャーロット/東京]2022年3月18日 — ハネウェル(Nasdaq:HON)は先月、英アストラゼネカ(LON:AZN)とGWP(地球温暖化係数)がほぼゼロの噴射剤を採用した、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療用次世代吸入薬の開発および商業化に向け、パートナーシップを締結したことを発表します。
■次世代の吸入薬にハネウェルの「Solstice(R) Air(ソルスティス(R) エア)」噴射剤を採用、従来の吸入薬用噴射剤に比べて温室効果ガス排出を99%削減
■革新的な新製品で温室効果ガス削減と顧客の持続可能目標達成に貢献するハネウェルの継続的な取り組み
世界では、進行性の呼吸器疾患であるCOPDは 3億8400万[3]、喘息は子どもと成人3億3900万の方々が疾患を抱えています[1,2]。患者治療の多くには加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)が用いられていますが、これらは世界中で呼吸器ケア分野のカーボンフットプリントを押し上げる要因としてあげられています。
呼吸器領域で世界をリードするアストラゼネカは、ハネウェルの「Solstice(R) Air(ソルスティス(R) エア)」(HFO-1234ze(E) cGMP*)技術を医薬品用噴射剤として用いるための開発によって、pMDI由来の温室効果ガス排出を現行の噴射剤から99.9%削減することを目指しています。ソルスティス エアは、不燃性とGWPがほぼゼロの特性を持ち、また現在pMDIの臨床開発中にある唯一の噴射剤です。
ブデソニド、グリコピロニウム、ホルモテロールフマル酸塩を有効成分とし、噴射剤にHFO-1234ze(E)を用いたpMDIについて、最近完了した健康な成人を対象とした第1相臨床試験ではポジティブな結果が得られました。有効成分の安全性、忍容性、全身曝露を同社の吸入薬「ビレーズトリエアロスフィア(Breztri Aerosphere/有効成分:ブデソニド、グリコピロニウム、ホルモテロールフマル酸塩)」と比較したところ、同等の結果が得られました。アストラゼネカでは、ビレーズトリエアロスフィアを次世代pMDIプラットフォーム移行の第一号として、規制当局の承認を目指しています。
第1相臨床試験のポジティブな結果を経て、アストラゼネカはハネウェルとの商業化に向けたパートナーシップを進め、同社の3つの有効成分処方にハネウェルのGWPがほぼゼロの噴射剤技術を採用したビレーズトリエアロスフィアを開発しています。
アストラゼネカCEOのパスカル・ソリオ氏は「当社は全世界の事業における2025年末までのゼロカーボン化と、2030年までの全バリューチェーンのカーボンネガティブ達成目標に向け、大きく前進しています。ハネウェルとの連携は、アストラゼネカのコミットメントである、患者アウトカムの向上と同時に当社の環境フットプリント低減を目指す、持続可能なヘルスケアイノベーションを進める姿勢を示すものです」とコメントしました。
ハネウェル会長兼CEOのダリウス・アダムチックは「当社がアストラゼネカと進める、新しいGWPがほぼゼロの噴射剤を用いた呼吸器疾患用吸入薬の開発は、環境と呼吸器疾患を抱える患者様の双方にとって非常に重要です。当社は患者の選択肢を狭める、もしくは治療効果を損なうことなく呼吸器領域のカーボンフットプリントを低減することを目指しています。このたびの取り組みは、アストラゼネカを含むお客様が環境目標を達成し、同時にお客様が顧客のために品質に注力し続けられる製品をつくるハネウェルのイノベーションの一例です」とコメントしました。
ソルスティス エアは、pMDIを変革する画期的な噴射剤です。不燃性(注:国内では特定不活性***)で、従来のハイドロフルオロカーボン(HFC、いわゆる「代替フロン」)を代替し低GWP化を可能にします。オゾン層破壊に影響せず、米国環境保護庁(U.S.EPA)および米加州大気資源局(CARB)で揮発性有機化合物(VOC)対象外に分類されています。GWPは1未満と非常に低く、米国ではHFCの段階的削減を定めたAIM法(2020年に成立)**において現在割当および規制適用対象外の、唯一の次世代HFO噴射剤です。
ハネウェルは、十年以上前から気候変動対策と低GWP製品のニーズを予測し、これまでソルスティス製品技術の研究開発および施設の新設に既に10億ドル以上の投資を完了しました。スーパーマーケットの冷凍冷蔵機器や、車やトラックの空調などで使われる冷媒、断熱材用発泡剤、エアゾール式パーソナルケア製品や日用品用の噴射剤、洗浄用の溶剤など、ソルスティス製品群は、幅広い用途で最終製品の性能を損なうことなくお客様の温室効果ガス排出低減とエネルギー効率性の向上を可能にします。
これまでに世界で導入されたソルスティス製品群によって削減されたCO2排出量は2億5千万メトリックトンを超え、この量は自動車5千2百万台分の年間排出量に相当します。
ハネウェルは、これまでに達成した温室効果ガス排出原単位の大幅な削減実績と、数十年にわたるお客様の環境および社会目標の実現を支えるイノベーションの歴史を基盤に、2035年までに当社事業および施設のカーボンニュートラルを実現する取り組みを進めています。ハネウェルの新製品研究開発に関する投資の約50%は、お客様の環境および社会的成果を向上する製品が占めています。
ソルスティス エアについて詳しくは、製品ウェブサイト(英語)をご覧ください。
https://sustainability.honeywell.com/us/en/initiative/solstice-air/
ハネウェル( www.honeywell.com )は、フォーチュン(Fortune)100 社にノミネートされた、技術に根ざした産業ソリューションを提供する複合企業で、航空宇宙分野の製品およびサービス、ビル・産業向け制御テクノロジー、パフォーマンスマテリアルズなどを世界中のお客様に提供しています。当社は、テクノロジーの力で航空機、ビル、工場、物流、作業者など、あらゆるヒトやものを「つなぎ」、よりスマートで、より安全で、より持続可能な世界を目指します。ニュースや詳しい情報は、 www.honeywell.com/newsroom をご覧ください。
注釈:
* cGMP:現行 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準 (Current Good Manufacturing Practices)、アメリカ食品医薬品局(FDA)の制度。
** AIM法:American Innovation and Manufacturing Act of 2020、米国イノベーションおよび製造業法
*** 高圧ガス保安法による分類
1. The Global Asthma Network. The Global Asthma Report 2018. globalasthmanetwork.org.
(グローバル喘息ネットワーク、「グローバル喘息レポート2018」)
2. World Health Organization. The top 10 causes of death. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/the-top-10-causes-of-death (WHO世界保健機関、「死因トップ10」)
3. Adeloye D, et al. Global Health Epidemiology Reference Group (GHERG). Global and regional estimates of COPD prevalence: Systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2015; 5 (2): 020415. (「世界および地域別COPD有病率推定:システマティックレビューとメタ分析」)
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