研究成果 2026年3月13日 太陽そっくりの星たちが明かす、太陽系「大移動」の道のり
太陽そっくりの特徴を持つ恒星の大規模データを解析することで、太陽系や太陽そっくりの星たちが、誕生したあと短期間で天の川銀河の中を大きく移動したという新たな可能性が提起されました。太陽系と同じ起源を持つ星の存在や、天の川銀河の形状進化に大きな知見を与える成果です。
太陽は現在、天の川銀河の中心から2万7000光年の距離にあります。一方、太陽の年齢と組成を他の恒星と比較することで、太陽は生まれたときには今よりも1万光年以上天の川銀河の中心に近いところに位置していたと考えられています。これは天の川銀河の中央部に存在する棒状の構造の端のすぐ外側にあたります。ところが、この領域には恒星が内から外へ移動することを困難にする障壁が存在すると考えられており、太陽系の大移動がどのように起きたのかが議論されてきました。
東京都立大学や国立天文台の研究者を中心とした国際研究チームは、ESA(欧州宇宙機関)が打ち上げた位置天文観測衛星Gaiaが作成した大規模カタログに注目し、この中から色や明るさが太陽にそっくりな恒星たちを距離およそ1000光年以内の範囲で6594個抽出し、それぞれの年齢も正確に求めました。この数は、これまでの研究で使われてきた同種の恒星の数の30倍にも及びます。
恒星の年齢分布から、太陽そっくりの恒星は、今から約20億前に短期間でかなりの数が誕生したこと、40ないし60億年前に生まれたものも多いことが分かりました。後者の発見は、太陽と同世代の太陽そっくりの恒星たちが、太陽系のすぐそばに多数存在していることを意味します。このことは、太陽系だけが天の川銀河の中を大移動したのではなく、多数の太陽そっくりの恒星とともに移動してきたことを物語ります。このことから研究チームは、現在の天の川銀河の棒状構造が、約70億年前に形成され始めたと提唱しました。その形成に伴い、太陽系や太陽そっくりの恒星たちが誕生し、間もなく現在の位置まで大移動できた可能性があります。棒状構造の形成時期は長年議論され、80億年以上前とする説が主流でしたが、その推定に新たな可能性を指摘することとなりました。
研究チームは今後、太陽と同年代の恒星を精密観測することで、太陽系と同じ場所で同じ時期に誕生した恒星を発見し、大移動の出発点や移動経路を特定することを目指しています。国立天文台が開発を進める国産の位置天文観測衛星JASMINEがその研究に寄与することも期待されます。
詳細記事
太陽そっくりの星たちが明かす、太陽系「大移動」の道のり
JASMINEプロジェクト
クレジット:「国立天文台」NAOJ
