生活と健康

40歳から急増する夜間頻尿――眠れない夜に悩む人たちに専門家がすすめる改善習慣

40歳以上の成人に増加する夜間頻尿は、生活の質を低下させる重要な健康問題として注目されています。日本排尿機能学会の調査によると、40歳以上の人の約63%が夜に1回以上トイレに起きる経験をしており、3回以上の場合も約13%にのぼることが報告されています。​

夜間頻尿の主な原因は、多尿や夜間多尿、膀胱の貯尿機能障害、睡眠障害、加齢による体の変化に分けられます。多尿は尿量の増加で、睡眠前の水分過剰摂取や加齢に伴う抗利尿ホルモン分泌の低下、心血管疾患、薬の副作用などが影響します。膀胱の容量低下は、過活動膀胱や前立腺肥大症、骨盤臓器脱などによって生じやすく、特に男性の前立腺肥大症は40歳代以降に多く見られます。また、睡眠障害は加齢により睡眠の質が低下し、目覚めやすくなることで夜間頻尿が増えることも知られています。​

専門家が推奨する夜間頻尿の対策として、以下の生活習慣の見直しが効果的です。

  1. 水分摂取の調整:夕方以降の水分摂取を控えるとともに、カフェインやアルコールは利尿作用があるため夜遅くの摂取を避けることが重要です。​
  2. 足のむくみ対策:日中の長時間の座り仕事などで脚にたまった水分を、夜間に排尿で処理することがあるため、夕方以降に脚を高く上げて休むことで改善が期待されます。​
  3. 睡眠環境の改善:寝室の温度や照明を整え、良質な睡眠を促すことで夜間の不必要な覚醒を減らし、トイレへの頻繁な起床を防ぐことが推奨されます。​

これらの対策に加え、症状が強い場合や改善が見られない場合は専門医の受診が重要で、前立腺肥大症や過活動膀胱などの病態に応じた治療が行われます。便秘や高血圧、糖尿病といった全身疾患の管理も夜間頻尿の軽減に寄与します。​

夜間頻尿は「年齢のせい」とあきらめがちですが、原因を理解し生活習慣を見直すことで改善可能な症状です。質の高い睡眠を確保し健康を守るため、早めの対策と受診を心がけることが大切です。

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