「やるなら心地よい時間を」──寺尾聰が語る映画『父と僕の終わら…』

4月23日、俳優・寺尾聰と松坂桃李がダブル主演を務める映画『父と僕の終わらない歌』の完成披露試写会が、東京都内で開催された。会場には、共演の松坂慶子、佐藤栞里、副島淳、三宅裕司、石倉三郎、齋藤飛鳥らが一堂に会し、華やかな顔ぶれがそろった。

本作は、2016年にイギリスでSNS動画を通じて大きな反響を呼んだ実話をもとに、日本を舞台に再構築されたヒューマンドラマである。横須賀を舞台に、アルツハイマーを患う父・間宮哲太と、その息子・雄太との親子の絆を描いている。寺尾が哲太を、松坂が雄太を演じ、音楽によって心を通わせていく様子が丁寧に描かれている。

試写会のトークセッションに登壇した寺尾は、出演を決めた経緯について率直に明かした。

「これは真面目な話ですが、私はオファーをいただいた際、シナリオを読む前にまず『主演はどなたですか？』と尋ねるようにしているんです。年齢を重ねるにつれて体力的にきつくなることも多く、誰とでも仕事をしたいとは思わなくなった。どうせやるなら、楽しく芝居ができて、気持ちの良い時間を共有できる俳優と一緒に仕事をしたい。そう思うようになったんです」

今回の場合、「相手の方が『松坂桃李さんです』と聞いて、それなら前向きに考えてみようと思った。そこが私にとってのスタートだった」と、出演の決め手について述べた。

さらに寺尾は、「妻役が松坂慶子さんと聞いたときは、『息子と奥さんに挟まれて、真ん中にいる自分がちょっとボケてもいいかな、いっそこのままずっとボケ倒してしまおうか』なんて思ったこともありました」と冗談めかして話し、会場の笑いを誘った。

舞台あいさつの締めくくりでは、「ゲラゲラ笑える場面もあれば、少しキュンとくるところもあるでしょう。そうした感情をすべてひっくるめて楽しんでいただき、満足して帰ってもらえたら嬉しい」と、観客に向けて温かいメッセージを送った。

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